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京都府産のクモイジガバチソウについて。

クモイジガバチ クモキリソウ属 Liparis truncata F.Maekawa ex Hashimoto


 新種として認識されたのは割りと新しく(最近とはいってももう20年以上も前になると思う)、確か前川文夫氏が発表されたと記憶している。新聞記事だったのではないかと思うが、ちょっとあやふやな記憶だ。このランが京都府下丹波山地に自生している。

 京都府下の自生は最近(2013年)まで、認知がされていなかったが、今年(2013年)ようやく自生が確認された。

 クモイジガバチソウは1969年10月20日京都府下丹波山中をハイキング中に見つけた。(写真1)。

当時、ランに夢中だった。見つけたときは花時ではなかった。一見してジガバチソウだと思った。翌年、開花した花を見たらびっくり、ジガバチソウではなかった(写真2)。
 それで新種ではないかと思い当時植物分類の権威だった京都大学の北村四郎教授にこの3枚の写真を送って同定を依頼した。そうしたら、こんなもの(写真)では判断できない、現物(標本)を送れ、という返事だった。翌年、栽培品がまた咲いたのでそれを標本にして送ったがそれっきりだった。その後、前川文夫氏に写真を送って調べてもらった。前川氏は非常に鮮明な写真でよく撮れていると写真をほめてもらった。前川氏はこれとよく似たものが他でも発見されていて目下調査研究中との返事だった。 大分後になってクモイジガバチと言う名称で発表されたが自生地として京都府の自生には触れられていなかった。少々不可解。

 家の光協会 が発行しているカラー版野生ラン(橋本保、神田淳、村川博美 共著、平成3年)にこのクモイジガバチが写真とともに記載されている。それには分布は北海道、栃木、静岡、和歌山、宮崎とある。

 最初に発見したとき友人と一緒だったが、この友人もランキチガイで当時、金沢大学教授里見信生氏に問い合わせしている。写真を送ったかどうかわからないが、標本を送ったはずだ。そうしたら「フガクスズムシソウ」という返事だった。「フガクスズムシソウ」も当時新種として発表されたのは記憶にある。写真で見ればフガクスズムシソウでないことはわかる。

 クモイジガバチソウの最初の発見(1969年)後、1972年5月27日に開花しているだろうと思い現地を訪れた。写真4はその時の写真だ。ちょっと開花には早すぎた。その後、1974年6月6日に開花真っ青中の新産地を見つけた(写真5)。1974年10月20日に二株だが全然違う場所で見つけた (写真6)。2箇所とも倒木上である。それ以来、毎年、春、秋のハイキングシーズンは発見現場近くを大分探した。お目にかかっていない。よほど稀産なのだと思う。

 69年に発見した場所は、大分後になって見に行ったが見つけられなかった。倒木でなく、立ち木でその木は今も残っている。わりと最近も現地に見に行き周辺をくまなく探し たが見つけられなかった。一番初めの時はともかく、採集は極力控えていたし株ものこっていた。通常人が歩くような場所でなく、植物ハンターぐらいしか行かないと思う。誰かが採集したのかもしれない。

 写真は40年近く経過している割にはそんなにひどい退色もなく比較的良好だ。白黒写真は当時自分で現像をしていたので白黒写真が多い。

 今年(2013年)発見した株の写真をアップした。花の時期は過ぎている。
 2014年、花の写真をアップした。(2014年5月6日更新)

 2015年2月11日、結実した株の写真を、開花写真のページに追加した。

 2017年5月11日、開花の写真を追加。

  2013年発見の写真.(2013年12月リニューアルページアップ)
  2013年秋に採取した株を育成し。2014年4月末に咲く。 
   結実し、タネを採取、播種をした。さて結果は?。写真は上記ページに追加した。
   2017年5月11日開花写真。
 
以下、2013年に発見以前の記事の内容 

写真1 1969年10月20日 最初に発見したときの生態写真

写真2 1970年5月19日 栽培品を撮影

写真3 撮影年不明 栽培品を撮影

写真4 1972年5月27日 生態写真。2013年12月27日写真を入れ替える)

写真5 1974年6月6日 第2の自生地 生態写真

写真6 1974年10月20日 第3の自生地 生態写真