RRG録音のベート−ベン交響曲第5番の音質比較


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旧ソ連時代に発売されたメロディアレーベルのベートーベンの交響曲第5番”運命”のLPを入手したので手持ちのLP、CDの音質を比較してみた。



今回、入手したLP。レコドー番号 HД05800/05801(гOCT 5289-80) マトリックス 33HД 05800/2-1/B面 05801/4-3 。全曲LP2面に収録。
 手持ちのLP,CDの中ではこれが音質ベストだ。高音は少し荒々しい音だが一皮むけたような音だ。



最も入手しやすいLP。発売は1990年になっていて、日本の新世界レコード社の働きかけで制作発売されたもの。メロディアが所蔵していたRRG録音の音源のものが、この時にほとんど制作発売された。フルトヴェングラーのものは23点発売された。ジャケットのデザインは統一されていて面白みはない。音質は上の白レーベル盤と遜色ないと思うが、わずかにクオリティが落ちるかもしれない。このシリーズは日本向けにたくさん輸入されて中古盤でよく見かけるが、この5番はあまり見ないが、そんなに高くはないと思う。
 レコード番号 M10 05800 009 /05800 009(05801) マトリックス 33HD 05800 7-3 /B面刻印無し。
 通常LPレコードは番号は一つで裏表をA面、B面で区別しているが、メロディアのLPはB面は番号がA面の番号+1になっている。おそらくメロディアのレコード番号はマトリックス(マスターテープの番号)だと思う。再発盤も同じ番号みたいで、はじめはそれが理解できず混乱した。



MYTHOS の板起こしCD MPCD9019

VSGレーベルといわれるLP盤からの復刻版。左がそのLP盤のレーベル。レコード番号はB面で Д05801になっている(上の2枚のLPと同じ番号)。MYTHOSの板起こしのCDは出来不出来があって聴いてみないとわからない。これは成功した方だと思う。上の白レーベルとほぼ同じ音質で非常にいい。CDではこれがベストかと思う。



ドイツグラモフォン発売のCD。ベートーベンの交響曲第7番とのカップリング。発売は1989年。
1980年代の終わり頃、旧ソ連から西ドイツの放送局(RIASだったと思う)に、第2次大戦の戦利品としてソ連がベルリンの放送局から持ち帰った録音テープが返還された。メディアはDATだったと記憶している。このときの一部はNHK-FMでも放送された。昼間の放送で留守録音のセットに苦労した記憶がある。
 その返還テープを元にドイツグラモフォンがCD化して発売した。点数は10枚だったと記憶している。なぜかベートーベンの第9はなかった(返還テープにはなかったみたいだ。)
 戦中のRRG録音の発売でこれが初めてのオーソライズ盤だとおもう。音質のクオリティは高いが、上記のメロディア盤のLPと比べると少し落ちると思う。


ここまで書いてTahraのCDを無視できなくなってきた。左はベルリンフィルとの3種のベートーベン交響曲第5番を2枚組で発売されたもの。3種とは1937年、1943年、1954年の録音。発売は1998年(FRUT1032-1033)。右はアーベントロートの田園とカップリングされた発売されたもの(TAH272)。発売は1997年でこれが先。このCDは音質がいいという評判で確かにいいと思う。あとで発売された左のと音質は同じ。
  音源は不明だが、メロデェア系とは雰囲気が異なる。メロディア系の高音の荒々しさはなく、非常にすっきりとした上品な音にイコライジングされていて、これはこれでいいと思う。好みの問題だと思う。
 
 HPのリストに国内盤を中心にほかにもLP,CDがあるが、国内盤のLP(フォンタナ、コロンビア、エンジェル
)はどれも音質落ちる。また、英UNICORNのLPは国内盤より音質はいいが、上記のメロディア盤と比べると、明らかに音質は落ちる。
  それぞれのクオリティはリストのコメント欄に記述しているのでそれを見てほしい。
(2011年10月23日作成)