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ワーグナー 舞台神聖祝典劇 パルシファル


ハンス・クナッパーツブッシュ指揮 バイロイト祝祭管弦楽団・同合唱団
アンフォルタス:ジョージ・ロンドン(バリトン)
ティトレル:マルティ・タルベラ(バス)
グルネマンツ:ハンス・ホッター(バス)
パルシファル:ジェス・トーマス(テノール)
クリング・ゾール:グスタフ・ナイトリンガー(バス)
クンドリ:アイリーン・ダリス(ソプラノ)
聖杯騎士:ニールス・メラー、ゲルト・ニーンシュテット
小姓:ソナ・ツルヴェナ、ウルズラ・ベーゼ、ゲルハルト・シュトルツエ、ゲオルク・パスクダ
花の乙女:グンドラ・ヤノビッツ、アニヤ・シリヤ、他
アルトソロ:ウルズラ・ベーゼ
演出:ヴィーラント・ワーグナー
合唱指揮:ウイルヘルム・ピッツ

録音1962年バイロイト音楽祭ライブ収録
録音データー(注1)
収録日:7月27日、8月5日
レコーディング・プロデューサー:フォルカー・シュトラウス
バランス・エンジニア:ハンス・ロウテルスレイガー

(2012年4月17日作製、2013年1月25日 CD PHCP24092/5を追加、コメント記事追加)
(2017年11月18日、TOWER RECORD/DECCA  PROC-1670/3,(CD)、
TOWER RECORD/DECCA  PROC-1670/3(SACD盤)ヲ追加する。)

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 蘭PHILIPS 835 220/24 AY 5枚組 マトリックス:AA 835 220 1Y 3 670 04 3 1 12(第1面) 。
音の印象はとてもいい。国内盤SFL(日本フォノグラム発売のLP)と互角か、もしくはいいかもしれない。
      
日PHILIPS SFL 7793/97 5枚組 マトリックス:835 220 1Y L KA ZBC FWE H(第1面)
発売:日本ビクター 1964年11月 この盤は初期プレスのもの。 3の日本フォノグラム盤とレーベルのデザインが異なる。
      
 日PHILIPS SFL 7793/97 5枚組 マトリックス:835 220 1Y LUGIKTAEFK(第1面)
発売:日本フォノグラム。2と同じレコード番号だが日本フォノグラムは1970年8月ビクターから独立して設立されている。
だからこのレコードのプレスはそれ以降になる。このレコードは発売当時に買ったもので購入記録は1972年2月3日に
なっている。 当時の目録を見ると、1964年11月発売で1975年1月のカタログにも載っている。再発盤のSFX盤の発売日は
1975年1月。もっとも安定感ある音質。
      
 日PHILIPS SFX9556/60 5枚組 マトリックス:835 220 1Y
発売:日本フォノグラム 1975年1月  最初の再発盤。SFL盤より音が少し薄手になったような印象を受けた。
      
独SPEAKERS CORNER 復刻盤 835 220/24 AY マトリックス:835220 S A1 19459 (第1面)
発売は2010年か2011年。2011年12月にhmvサイトから入手した。15000円だった。重量盤で1の蘭PHILIPS盤のコピーで
函、レーベルともSPEAKER CORNER 印字はなく判らない。 高級感はあるが、15000円が見合うか疑問。ぼくはSFL(日本
フォノグラム)でいいと思う。入手しやすいし、なにより安い。
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CD  日PHILIPS 30CD 376/9 (西独製 416 390-2) マトリックス:416 3901-2 01
国内発売の初CD。独盤を輸入して日本語の解説、対訳を付けて発売したもの。発売日は不明だが購入日は1986年11月6日
で、発売とほぼ同時期に買ったと記憶している。
 フィリップスレーベルのアナログのCD化は出来不出来があった。これは比較的うまくいった方だと思う。ただデジタルくさい
音で高音が少しキラキラする。
 12   
 日PHILIPS PHCP 1358/61 マトリックス:PHCP1358(レーベル 416 391-2)
1993年7月発売。発売時、レコード芸術で、国内所蔵のLP用のマスターを使ってデジタルマスタリングをしたという記事
を読んだ記憶が残っている。独初出盤よりデジタル臭さはないが、いまいちな印象。オークションや中古店で大分探したが、
入手困難だった。(2012年3月入手)
 13   
 独PHILIPS 464 756-2 マトリックス:00289 416 391-2 03 #50972010
2001年7月20日に新品を購入した。箱に(C)2001年の印刷有り。
PHILIPSレーベル50周年記念としていくつかのタイトルが発売された。CDによっては、96KhZ 24-BitのロゴのあるCD盤が
あったが、これはそのロゴはない。11の初出CDと同じデジタルマスターを使用したのだと思う。音質も同じとの印象を受けた。
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英 DECCA 475 7785 マトリックス :00289 475 778-6 01 51759882 MADE in GERMANY BY EDC。
(C)2006の表記があるので2006年の発売だと思う。2012年4月HMVのサイトで入手2700円だった。96kHz・24bit REMASTERING
の表記有り。PHILIPSレーベルはUNIVERSALに吸収されレーベルが消滅した。この録音はオランダフィリプスがしたもので、レーベル
はPHILIPSのイメージが染みついていて、DECCAレーベルはかなり違和感ある。
 最近の新しいCDはどんな音かと思い入手した。初出の独プレスのほうがいいように思う。
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  日PHILIPS PHCP-24092/5  マトリックス:PHCP-24092-3R 発売MERCURY MUSIC ENTERTAINMENT CO. MADE IN JAPAN。1996年7月発売。
24bit formatのロゴマークあり。国内盤初出のFSLと第1幕前奏曲、同場面転換のシーンを比較してみた、ほぼ似たような雰囲気だった。FSLのほうが中低域は豊か、このCDは少しタイトな印象を受けた。デジタルくささはない。第2幕、第3幕はCD2枚に跨いでいて、従来と同じ収録方法。
     
  TOWER RECORD/DECCA  PROC-1670/3, 2015年4月発売。ルビジウム・クロック・カッティング。
第1幕が、CD-1,2に収録。2幕3幕がCD-3,4の収録されていて、この編集カッテングは初めて。初出の独プレスより音質落ちると思う。
     
  DECCA UCGD-9055/7 (3枚組) 2017年6月発売。 英Classic Sound製作、2016年DSDマスター。SMH仕様。
初のSACD シングルレイヤー盤。第1幕がDISC1に収録。ディスク2に第2幕、ディスク3に第3幕が収録されている。第1幕はCDのフォーマットなら、1枚に全曲は収録できない。SACDだから可能になった。
 音は、アナログ時代の音の雰囲気とは、だいぶん異なる。冒頭を聴けば明らかだが、会場のざわつき、オーケストラピット内などの軋み音などのノイズが取り除かれている。また、従来、テープの編集跡などはっきりわかったが、それも判らなく処理されている。
 2017年8月号の雑誌「レコード芸術」に、編集者など4人ほどで、初期版のCD  日PHILIPS 30CD 376/9 (西独製 416 390-2)と、比較、合評の記事が載っている。参考になる。
 ザラザラした感触のものが、ツルツルに磨き上げられた、という印象。もとのままの盛大なノイズの音(ちょっと大げさだが)がある方が、生々しく、会場の雰囲気も伝わっていい。ノイズが耳障り!、と感じる人には、このSACD盤はいいかもしれない。

(注1) クラシック名録音 106究極ガイド 嶋護著 2011年5月 ステレオ サウンド によるデータ。
 このページ作成にあたって、音質の比較を少ししてみた。464 756-2、PHCP1358、2種のCDを同時にかけて、各LPとを聴き比べた。当初(入手時)の印象は、個々に書いたとおりだが、聴き比べると、目立った差は無い。
耳が老化したのかと思う。LPの再生はオルトフォンSPU SYNAGYを使ったが、2台のCDプレーヤーのキャラクターやらLPカートリッジの音色は無視できないと思う。それでもあえて、どれがいいかと問われれば、国内盤SFL盤(日本フォノグラム)と蘭盤 835 220をチョイスしたい。やっぱりLPの音が雰囲気的にいい。

 CDはマスタリングに手間をかけた”xrcd”とか、SACDでの発売に期待したい。

 ところで、CDは第二幕、第三幕は1枚に収めることが出来る。しかし、上記の4種のCDは面をまたいでいる。
どうしてこのような編集をしているのか不可解。LP用のマスターテープを使用していて、再編集をすると音質の劣化を生じるからだろうか。ネットで調べると、第二幕、第三幕をCD1枚に収録しているのもあるようだ。後述する放送用の録音のCDでGOLDEN MELODRAMのCDは第二幕、第三幕を1枚に収録しているのがある。

 それから、この録音、編集のまずいところがあり、テープのつなぎ目がうまくいっていない箇所が、2,3箇所ある。なんとかならなのかと思う。聴いていていつも感じる。
 
クナッパーツブッシュのパルシファルのこと。
 クナッパーツブッシュは戦後の1951年第一回バイロイト音楽祭から、1953年をのぞいて1964年まで一人で指揮をしている。第一回の1951年は英DECCAのジョン・カルショウのチームがライブ収録している。テンポは上記の1962年より大分遅い。昔は、遅いテンポについて行けなかったが、最近は聴けるようになり、1962年に劣らず名演奏だと思った。特にクンドリを歌う、マルタ・メードルは,、いままで聴いたクンドリでは最高の歌唱だと思う。

 1962年のPHILIPSのステレオ録音が出てから、この51年のDECCA盤が忘れられているのは残念だ。モノラルながら録音はいい。今更ながらカルショウの録音のうまさに感心させられる。同時期の英EMIとは音質にかなり差をあけていたことは、よく知られたエピソードだ。

 レコード用に録音されたのは1951年と1962年だが、他の年は、バイエルン放送がラジオ放送用に録音していて、いまはほとんどがCD化されて聴くことが出来る。音質は51年、62年の録音より大分落ちるが、十分に演奏の様子は聴くことが出来る。かってNHK-FMでバイロイト音楽祭のライブ放送を担当していた柴田南雄氏は、年を追うごとにテンポが速くなっていく、と言っていた記憶が残っている。僕が聴いたのでは1954年のがいちばん遅いと感じた。時間は計っていないので正確なとこは不明だが。

 バイエルン放送が録音した音源のCDは1955年だけは所持していない。発売されているかどうかは不明。それから、GMからはPhilipsが録音した1962年も発売していた。店頭でこのCDを見たとき、Philipsのステレオ録音があるのになんでこんなもの発売するのか、と思って買わなかったが、考えてみれは、放送用の録音は初日の全公演で、Philipsの録音とは別テイクという考え方も出来る。あとで、気がついて後悔した。なお、1962年のクンドリはダブルキャストになっていて、セカンドはアストリッド。ヴァルナイだったが、発売されていたGM盤はPhilips盤と同じ、イレーネ・ダリスだったので買わなかった、という記憶が残っている。

 「3」の国内初出のSFL盤はすでに書いたとおり1972年2月に購入して、長年このレコードで聴いてきた。この盤の音が気に入り、状態のいいものをもう一セット中古盤で求めたのが「2」のSFL盤だ。レーベルのデザインが違うのに驚いた。さらにレーベルにDG(ディープ・グルーヴ)といわれる溝が有り、明らかに古いプレスだと判った。SFLは10年ほど発売されていて、在庫がなくなると、追加プレスをしたのだと思うが、時期により、盤の仕様が変わるのは当たり前かもしれない。すでに、コメントに書いたとおり、最初は日本ビクターから発売されたが、1970年8月にフィリップスレーベルは日本ビクターから独立して日本フォノグラムという会社になった。プレス工場は同じではないかと思う。プレスやカッティング機材が更新されたのだと思う。当時の事情を考えれば後ほどプレスは良くなると思う。詳しくは判らない。

 日本のPhilipsレーベルのことを詳しく調べると、日本ビクターのレコード事業部にフィリップス事業部が作られたのは1966年。SFLの発売日は1964年11月で、この時は、どこが発売をしたのだろうか、という疑問も生じる。日本フィリップスレーベル以前は、米EPIC経由で日本EPICレーベルでPhilipsのタイトルは発売はされていた。この間の事情は、以前ブログで紹介した「マイクログルーヴからデジタルへ 岡俊雄著」に詳しく書かれている。

  1972年に買ったSFL盤は今も現役で、サーフェスノイズもまったく出ない。


(注1)の「クラシック名録音」の本のなかにこの録音が紹介されている。選ばれているレコードは英PHILIPS SAL3475-9。レーベルデザインは上記「2」の国内初出盤と同じ。輸入盤を扱っている専門店主の話によると、オリジナルは「1」の蘭PHILIPS盤だと言っていた。蘭Philips盤はオークションによく出品されて、比較的安く入手できるが、英Philips SAL盤はどうゆう訳か高値で取引されている。一度、入札をしたが、あまりに高値になりやめた。

 国内盤LPは、SFL,SFXのあとに18PC-56-60(1981年)が発売されている、また、バイロイトセットとして他のタイトルと一緒にしたものも発売されているが、どちらも所持していない。

 

記事追加(2013年1月25日 ブログから転載)
以下、バイロイトでのクナパーツブッシュの演奏時間およびカラヤン、クレメンス・クラウスの演奏時間。
1951年   4時間32分11秒(NAXOS 8.110221-24 の記載データー )
1952年   4時間22分43秒(GM1.0051 ディスクの読込みデーターによる)
1954年   4時間29分01秒(GM1.0053 ディスクの読込みデーターによる)
1956年   4時間16分35秒(GM1.0062 ディスクの読込みデーターによる)
 同       4時間17分14秒(HUNT4CDLSMH34035 ディスクの読み込みデーターによる)
1957年    4時間14分32秒(WALHALL WLCD0215 記載によるデーター)
1958年    4時間9分31秒(GM1.0058 ディスクの読込みデーターによる)
1959年    4時間8分25秒(GM1.0070 ディスクの読込みデーターによる)
1960年    4時間13分28秒(Gala GL100.655 記載によるデーター)
 同        4時間9分48秒(MYTO 4CD 00279 ディスクの読込みデーターによる)
1961年    4時間14分37秒(GM1.0049 ディスクの読込みデーターによる)
1962年    4時間10分(Philipsのステレオ録音 記載のデーターによる)
1963年    4時間15分49秒(GM1.0034 ディスクの読込みデーターによる)
1964年    4時間17分06秒(GM1.0004 ディスクの読込みデーターによる)
同(注2)  4時間10分05秒(Orfeo C690 074L 記載のデータによる。ディスクの読込みデーターはマイナス8秒短い)
同(注3)  4時間12分01秒(HUNT4CD LSMH34051) ディスクの読み込みデーターによる)

参考:
カラヤンのCD(1979/80年 グラモフォン録音)  4時間15分48秒
1953年 クレメンス・クラウス 3時間54分49秒(LP盤 伊MELODORAM MEL533 (4LP (P)1983の実測値)